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乳幼児は画面上の教師から言語について学ぶことができるのでしょうか?

赤ちゃんは、ビデオよりも実在の人物からの方が言語についてよく学ぶことができます。それはなぜでしょうか?
実在の人物から学ぶこととビデオから学ぶことの重要な違いの1つは、相互作用(インターアクション)の有無です。
では、画面上の教師がインタラクティブな場合はどうなるでしょう?

この課題における私たちの研究の一例を紹介します。

画面上のバーチャルな先生が日本の生後12か月の赤ちゃんに新しいモノの名前を教える調査を行いました。そして2つの条件、すなわちバーチャルな先生がインタラクティブな場合(例えば、赤ちゃんの視線の方向に追随する)とバーチャルな先生がインタラクティブではない場合を比較しました。
赤ちゃんはインタラクティブな教師からのみ新しい単語を学ぶことができ、これは画面上の双方向性が言語学習を強化できることを示唆しています。

しかし、生後17か月のフランスの幼児を対象とした研究では異なる結果が出ました。インタラクティブなバーチャルな先生から新しい単語をうまく学ぶことができませんでした。しかし、彼らはビデオチャットで相互にやり取りをした画面越しの女性教師からは単語を学ぶことができました。(同じ部屋で相互にやり取りし交流した女性教師から学ぶほどではありませんでしたが)。
現時点では、これが年齢や文化に関係しているかどうかはわかりません。
この課題を解明すべく、現在JEWELプロジェクトの大規模な研究者ネットワークと協力して調査を進めています。

つまり、双方向性は乳幼児が関係する社会的エージェントを特定するための重要なメカニズムである可能性があり、それは最終的には言語を学ぶのに役立つ可能性があります。

画面と言語学習について、詳しくはFAQ(#画面を見る時間)をご覧ください。

現在、画面上の先生からの学習に関するフォローアップ調査の参加者を募集しています。

参考文献

Tsuji, S.,Jincho, N., Mazuka, R., & Cristia, A. (2020). Communicative cues in the absence of a human interaction partner enhance 12-month-old infants’ word learning. Journal of Experimental Child Psychology, 191, 104740.

Tsuji, S., Fiévét, A.-C., & Cristia, A. (2021). Toddler word learning from contingent screens with and without human presence. Infant Behavior and Development, 63, 101553. doi: doi.org/10.1016/j.infbeh.2021.101553